鉄の女の涙?


最近『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』を観ました。
「鉄の女の涙」とサブタイトルがつくので、
どれだけ鉄のように強いのか・・・気になっていた作品です。
数多くの名言を残す元イギリス首相サッチャーの伝記映画で、
メリル・ストリープのメイクがサッチャーそっくりだと話題になり、
メリルが2度目のアカデミー主演女優賞を受賞、オスカーを獲得しました。
サッチャーさんは、首相であり、妻であり、母であり・・・
どうしたらそんな状況をこなせるのかと
仕事をしながら母でもある私にとっては興味深々。

映画は、年老いて認知症を患いながらも自分の状況を受け入れる事が出来ず、
亡き夫の幻覚に悩まされながら、 政治家人生を振り返るシーンから始まります。

回想シーンでプロポーズをされる場面があるのですが、
そのプロポーズに対して彼女のセリフ
『料理や育児や掃除だけじゃなく、人生にはもっと大切な事がある。
私は食器を洗って一生を送りたくはない』と・・・専業主婦は嫌ときっぱり断る。
彼は『そんな君だからこそ、結婚したいんだ』と答え、ずっと「鉄の女」を支え続けるのです。

まずはこのシーンでジーンときてしまいました。
結婚は全く違う二人が一緒のレールに乗って走り出す、謂わばスタート地点。
ここで無理に歩み寄るのか、それともお互いの人生を尊重するのか、
「なんとなく」ではダメなのかも知れません。お互いに覚悟が必要であると・・・。
結婚したらいい奥さんになる。そう決意しても無理な決意は続きません。
恋愛していても同じこと。ありのままを受け入れてくれる相手と、そうじゃない相手。
好きな相手に合わせようと無理して頑張っていても苦しいだけです。
サッチャーさんは自分の『考え』をきっぱりと伝え、最高の相手と一緒になります。

映画の中でサッチャーさんが言うセリフでもう一つ印象的なシーンは・・・
引退後のサッチャーさんが主治医の身体検査を受ける時に主治医がこう尋ねます。
「今どう感じますか?」と。
この問いに対して、彼女は毅然として
『感じるってなに?今の世の中はどう感じるかが重視されている。
感じることより考えやアイディアのほうが面白いのに』
それを聞いた主治医は改めて
『それではサッチャーさんは何を考えておられるのか』と聞き返します。
そしてサッチャーさんは、
『考えは言葉となり、 言葉は行動となり、 行動は習慣となり、
習慣は人格となり、 人格は運命となる・・・』そう答えるのです。

英語の格言ですね。
“Watch your thoughts, for they become words.
あなたの考えを観察しなさい、なぜならそれが言葉となるからです。
Watch your words, for they become actions.
あなたの言葉を観察しなさい、なぜならそれが行動となるからです。
Watch your actions, for they become habits.
あなたの行動を観察しなさい、なぜならそれが習慣となるからです。
Watch your habits, for they become character.
あなたの習慣を観察しなさい、なぜなたそれが人格となるからです。
Watch your character, for it becomes your destiny.”
あなたの人格を観察しなさい、なぜならそれがあなたの運命となるからです。

彼女は「感情」や「気持ち」を重んじ、「人の考え」に耳を傾けない世の中は
間違っていると伝えながらこの言葉を出します。
考えから運命へと繋がる。確かに、自分の人生は自分で切り開くもの。
感じることも大切だけど、考えて行動することも大事。
考えがハッキリしている人はそれだけ行動も早く、夢や希望がいつしか現実となり
それが「人となり」となる・・・。

サッチャーさんは生涯を共にするパートナーを決める時も、『感じる』ではなく『考え』から。
だからこそ、自分にとって最高のパートナーに陰で支えられ、
『鉄の女』強い女性としてやってこれたのでしょう。

映画の最後の方に、夫の幻覚を見たサッチャーさんは
『あなたは私と一緒になって幸せだった?』と語りかけます。
そして一瞬、 『鉄の女』ではなく、弱い女の姿を見せます。
人生の最後の方で今までを振り返り、これで良かったのかと考える。
人生に正解なんてありません。人生を良かったと思うも悪かったと思うも自分自身。
『幸せは自分の心の中にある』

鉄の女として生きた彼女の人生、
その強さの秘密は『はっきりとした考え』そこにあるのかも知れません。
そして、強さの裏には弱さもある。
時に強く、時に弱く、そんな自分でいい。
それでもサッチャーさんのように『考え』はきちんと持っていたい。
自分の考え、行動、この先の人生の目的について改めて考えたくなる・・・
私にとってそんな映画でした。

女性でも、考えさえしっかりしていると首相になれるのか・・・
きっとそれだけじゃない。
支える人がいるから・・・愛する人がいるから・・・そう思うのです。
人生の中の様々なチャレンジ。チャレンジは冒険。
冒険は安心できる場所、戻れる場所があるからこそできる。

今まで色々な事にチャレンジしてきた自分。
過去の自分の環境に感謝。
そしてこの先もチャレンジし続ける事のできる、
戻れる場所があること、今ここに感謝です・・・。

この映画、もうすぐ終わっちゃいますが、お時間があれば是非!
共感して頂けたら嬉しいです。

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