『千体仏』完成への道


年末に彫った絵馬。
そして今回は『千体仏』(せんたいぶつ)彫り。
『千体仏』とは大船観音寺に一人一人が作成した千体の小さな仏様を収めよう
との企画で始まったもので、大船観音寺で開催されている木彫り講習会。完成すると、あの大船駅から見える大きな観音様の中に奉納されるんです。

最近彫ることにはまり始めた!?私。彫っていると正に瞑想状態。
無心になれる自分がいます。ただの彫り物とは違い、絵馬や仏様は彫りながら
心も洗われるような・・・そんな気持ちのリセットができるひと時です。

今回の『千体仏』は、一本の木から2体を作成。
一体を納め、もう一体は自分の物に。手のひらサイズのかわいい仏様です。
今まで彫刻の経験はなく、よく美術館や個展でも素晴らしい作品を前に
どうやってこの形を作るの?と疑問になります。
勝手な妄想では思い思いにインスピレーションで彫ってゆくものだと・・・
そんな妄想のまま参加した仏像彫り。
材料の木を渡されたらどこから彫ろうかな~なんて安易に考えていました。
ところが違った(><)

何事もまずは下準備。
木に数ミリ単位で直線の印を付けてゆきます。
数ミリ単位ってことはちょっとでもずれてはいけないと言うこと。
これがまたなぜかずれてしまう・・・難しい。
全ての線を書き終えたら、今度はのこぎりで細かく切れ目を入れてゆく。
そしていよいよ彫刻刀を持って彫り始める・・・と思っていたら
彫刻刀で余計な部分をザクザク削いでゆく。かなり力仕事です。
やっと見えてきたのは四角い人間のようなシルエット。
なるほど~。ここから少しずつ丸く彫ってゆくのね・・・。
半日かけてやっと少しだけ丸みを帯びた胴体。

先生に少しずつ手解きを受けながら掘り進める中
他のテーブルで作成していた年配の女性の行動に先生の焦りが見えました。
先生の説明を若干無視!?して、すぐさま形を彫り始める。
そして一番最後の仕上げ、顔の部分にまで手を付けてしまう始末。
焦る気持ちはわかります・・・。でも、それでは指導者の必要性が無くなってしまう。
無計画で彫るのも有りだとは思いますが、せっかくの講習会。
先生の言うとおり一歩ずつ進めてゆく中に気付きや学びがあるもの。

ヨガにおいても結果を早く求めるあまり暴走してしまう方、焦りを感じる方、
そんな方が少なくはありません。
何事も理想が高ければ高いほど近道はなく、一歩一歩地道な作業を繰り返しながら
その努力の度合い・向き合い方によって完成度が違うのです。

美しい仏像を作りたいと願うのであれば慎重に、心を込めて彫り進める。
美しい容姿を手に入れたいと願うのであれば、近道ではなく日々の努力を・・・。
完成度は自分自身の向き合い方で変わる。
仏像彫りならやり直しが利きますが・・・体はご自身のたった一つの一生もの。
無理なく、まずは自分自身の今の状態を受け入れ、
改善方法を伝えてくれ、いい状態へ導いてくれる指導者、
そしてご自身の強い意志が必要なのです。

近道はゴールへ早く進めますが、戻る時も早いものです。
くねくねと曲がりながらも、ゆっくりだけどゴールへと確実に進むその道は
なかなか戻ることのできない道。戻らないからこそ、
またその先の素敵なゴールへと進んでゆく。
その道を歩んだ足跡はきっと、
5年先・10年先のご自身への素敵な贈り物へと変化する事でしょう。

やり直しが利かない大切な体・・・
木彫りの仏像とは違います。
理想を目指して地道な努力を・・・。

まだ未完成な私の仏像。
その工程は私に様々な気付きを与えてくれる大切な時間です。
ついつい彫りながらも「あ、肩周りがバランス悪い」とか「坐骨が」とか・・・
職業柄、彫りながら人体観察をしてしまう私です(笑)

完成したらまたお見せしますね~(^^)/ 地道に地道に。

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