女性ホルモン

⚫︎女性ホルモンとは?
女性にとって大切なものだということはわかっていても、具体的にどのような種類がありどこから分泌されているのか知っている方は少ないかも知れません。女性ホルモンは女性の体調に大きく影響します。女性ホルモンについて理解することで不調を改善するきっかけにもなるため、まずは理解を深めて行きましょう。

女性ホルモンは2種類
「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があり、この2種類のホルモンは、卵巣から分泌されています。そして、この2つのホルモンを分泌するように指令を出しているのが、脳の下垂体から分泌されている性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモン・黄体化ホルモン)です。さらに下垂体に指令を出しているのが脳の視床下部。このバランスが保たれるようにフィードバック機能を使ってコントロールを行っています。こう書くと難しいのですが、女性ホルモンを分泌するのが卵巣、卵巣に指令を出しているのが脳だという事がわかれば十分です。絶妙なバランスのシステムなので、脳がストレスや生活の乱れを感じると体はすぐに反応を示します。一番わかりやすい反応は月経周期の乱れであり、ストレスや過度のダイエットで月経(生理)が止まってしまったり、出血が少量でおわってしまったり「いつもと違う」と感じる体験をしたことがある方も多いと思います。月経は毎月きているだけでは安心できません。排卵していない月経もあるのだということを覚えておいてください。きちんと排卵している月経がきているかどうかを調べるセルフチェックの方法を以下にお伝えします。

基礎体温を測る
一番手軽に、自分の女性ホルモンのバランス・排卵日を知る方法が基礎体温の測定になります。実際にグラフをつけている方も多いのではないでしょうか?妊娠希望の方・避妊の目安にしている方、様々かと思いますが、そのどちらでもなくても基礎体温をつけることで自分の体調管理の目安にすることもできるので、基礎体温をつけることをお勧めします。

基礎体温グラフの読み方
ここからは基礎体温のグラフがなにを表しているのかを、二つの女性ホルモン=エストロゲン・プロゲステロンの特徴を含めてご説明していきます。 (ややこしくなるので、性腺刺激ホルモンについての説明は省かせていただきます)

月経周期を4つの時期に分ける
25日〜38日、ほぼ1カ月周期で繰り返している月経周期。
実は、大きく4つの時期に分けられます。

① 卵胞期
基礎体温は低温相(生理直後から排卵まで)約7日間
エストロゲンが優位の時期です。この時期は、体が妊娠するために体を整えている時期。基本的に体調がよく、お肌もツルツル活動的に過ごせます。

② 排卵期
基礎体温のグラフが一か所だけ下がる 約3日間
名前のとおり排卵をする時期。おりものの量が多くなり、性欲が増したり卵子が排卵する時に排卵痛を感じる人もいます。卵子の寿命は排卵から24時間、精子の寿命は射精から3日間程度なので、排卵前2日~排卵日の性交での妊娠の可能性が高くなります。

③ 黄体期
基礎体温は高温相(排卵から月経開始まで)約13日間
プロゲステロンが優位の時期です。子宮の内膜がフカフカのクッションとなり、受精した卵子を迎える準備が整います。黄体ホルモンが優位なこの時期は、乳房の張り・腹部の張り・肌の不調・イライラなどが目立つ時期です。ひどい場合にはPMS(月経前症候群)という病名がつくほどの症状になることも。また、黄体ホルモンは水分をため込む特徴があるので、むくみが目立つ時期でもあります。黄体ホルモンは、次の月経の時期になると急激に分泌量が減るので月経がくると、スッキリするという経験をしている方も多いかと思います。

④ 月経期
生理期間中 約5日間
排卵から約2週間経過しても、受精卵が子宮に着床しない場合、エストロゲン・プロゲステロンともに分泌が急激に減少します。それをサインに、子宮の中に準備していたクッション(子宮内膜)を体の外に出すように指示が出されます。二つのホルモンがなくなることで起こる出血なので、月経のことを消退出血と呼ぶこともあります。月経が始まると、脳の視床下部から下垂体に卵胞刺激ホルモンを分泌するように指令が出て…と 最初に戻り月経周期が繰り返されます。

ポイント
グラフが低温相・高温相の二相性になっているか、基礎体温のグラフが二相性になっていない場合、無排卵性月経の可能性があります。グラフをつけていて疑問を感じた場合は、そのグラフを持って婦人科を受診してください。基礎体温を付けると、自分の女性としての健康状態がグラフに現れます。規則正しく生活しているのに二相性じゃない場合は病気を疑う必要があるかも知れません。またはストレスが過剰にかかっている可能性はないでしょうか?病気がないのにグラフがガタガタの場合は自分の生活習慣を見直す必要があるかも知れません。女性ホルモンは女性の健康と切り離して考えることができない、とても重要な存在なのです。