心理をよむ!?

昨日の朝、TVで「心理学を使って相手の心を読む方法・・・」
みたいな?ノウハウ本が紹介されていました。
どうやらその本の中には相手の本心を読み取って、いい人間関係を築く!
そんな内容が書かれているそうです。
私も心理学を学んでいる身。
でも、そのTVの内容にはちょっと違和感を感じてしまったのが正直なところ。
心理学を学んでいると人の心が簡単に読めると思われがちですが・・・
確かに心理学のスキルを使えば少しは読めてしまうのかも知れません。
でも何のために?

私は普段は心理学を使って心を読みません。読みたくありません。
心理学は相手の心理を読むためのものでもあることは確かですが、
全てを読んでしまったら人間不信になってしまう。人間は嘘だってつきます。
それはいい嘘もあれば悪い嘘も。
その全てを知ってしまったら自分の心が疲れてしまう。いつでも言葉を選んでしまう。
そんな生活、人との交流はつまらない。
恋愛だってわからない時期があるからこそ楽しいものですよね。
結婚したって死ぬまで相手の本心はわからないかも知れません。
だからこそ相手を知りたい、知って欲しいという気持ちになり、
それが恋へと変化したり・・・。
私にとっての心理学は誰かれ構わず心を読むことではなく、相手の心に気付き、
隠れた魅力や才能に気付かせてあげること、後押しすること。
そして、皆さんのコミュニケーション力を高めたい。
その想いはありますが、あくまでも自然に。
皆さんらしいコミュニケーションを見つけて欲しいのです。

その本で紹介されていた心理学のスキルは、相手の気持ちに寄り添い、
思いやりを持てれば必要のないスキル。一昔前だったら・・・
コミュニケーション能力は殆どの方が持ち合わせていたものだと思います。
残念なことに最近の人々は携帯やパソコンメールでのやり取りが広まり、
皆さんが本来知っていたコミュニケーションの取り方がわからなくなって、
変に難しく考え過ぎているのかも知れません。

様々な会社でコミュニケーションスキルの講座が開かれ、
数時間の受講でコミュニケーションの達人になったような気持ちになってしまうビジネスマン。
上司との上手い付き合い方など・・・本当にそれでいいのでしょうか?
皆が皆そのスキルを学んでしまったらどうなるのでしょう?

「本当の気持ち→読まれたくない→読まれないように気を付ける」
お互いがこんな風に思い、警戒心が芽生え・・・
そんな心無いやり取りがあちらこちらで交わされてしまうのではないでしょうか?

心理学のノウハウ本が流行っている現代、なぜ流行るのか?
そこにはコミュニケーション不足で人間関係がうまく行かない方が増え、ストレスを感じ、
人間関係を円滑にする近道を探しているのかも知れません。

私は日常で心理学のスキルを使って人の気持ちを読み取ること、
それだけで相手の気持ちを判断することはお勧めしません。
人は時にぶつかり、時に弱さを見せ合い、そんな状況から人間らしさを知る。
お互いに心を寄せ合ってこそわかる相手の気持ち。
心理学のスキルが無くても相手に向ける時間と寄せる気持ちさえあれば
いつか心は通い合えます。

苦手だなと感じる相手がいるのなら、まずは心を寄せてみましょう。
心はまず自分が開かなければ相手の心を開くことは難しいのです。
相手の気持ちを知りたければまずは自分はあなたと心を交わしたい、
心を知りたいとの想いを寄せ、自分のペースを押し付けるのではなく、
相手が心を開いてくれるのを焦らずに待つ。
必要なのは心理学のスキルではなく、ご自身の中の温かい心。

人間には失敗から学ぶことも沢山あります。
人を傷つけてしまったこと・傷付けられてしまったことがあり、
人と交流することが苦手になってしまったら・・・
その経験をしたことで経験をしていない人よりも相手の気持ちを理解する心の器が存在しているはずです。

心は『読む』ものではなく心に寄り添い気付いてあげること。
沢山ぶつかり沢山悩み、心理のスキルだけでは気付けない相手の温かい心に気付く。

どうしても相手の心に寄り添えない時、そんな時は『ノウハウ本』もいいのかも!?
ただし、ノウハウ本にはその先のことは書いてありません。
本当に大切なことはその先にあるのに・・・。

心を寄せる温かい気持ちがあればノウハウ本はいりません。
『心寄せ』それこそが本当のコミュニケーションスキルです。

皆さんの心の中には「寄せる気持ち」ちゃんとありますか?

 

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